ホンネの座談会 Part.2 〜生成AIとの向き合い方〜

はじめに

当社デザインメイトの社長、ディレクター、デザイナーとで開かれた座談会の内容を公開します。前回のPart.1の続きとなります。

長谷部(代表取締役)
次の話題に行きたいと思います。

次はズバリ「デザインの未来」をテーマに話します。

昨今、AIやSDGsなど色々なトレンドが出てきていますので、デザイナーがどのようにそれと向き合うのか、経営上どのように取り組んでいくのかをざっくばらんに話そうと思っています!

じゃあ、まず生成AIの話からですが、僕は最初出てきた時、(この業界ヤバいかもな。。)と思っちゃったんですけど、皆さんはどう思われましたか?

生成AIはデザイナーの仕事を奪うのではなく、良いツールとなる

矢口(取締役制作部長)
僕はAIはどこまでいってもツールだというふうに思っていて、そのツールをどういうふうに使うかという人間の意思や思いだったりがやっぱり重要なのかなと思っています。

なので、AIがここ半年で来たときは、良いツールが出てきたなっていう感じではあって、それができたから我々の仕事が楽になる。

だから、我々の判断はAIに委ねてもいいんじゃないみたいなところっていうのは全然なくて。

宮崎(営業部ディレクター)
キャッチコピーを考える時にChatGPTを使ってみたんですけど、「三度の飯より旨い」みたいなコピーが唐突に出てきて、これは人間には思い浮かばないなと思いました。

矢口
そうそう!人間がやると絶対に組み合わせない答えが出てきたりしますよね。

あと、ものすごい幅のアイディアを一気に出すことができるけど、結局人間が一つに絞るわけだからね。

宮崎
最初アイディアを30個出してくださいと言った後に、違う角度から30個出してください、すいません、もう1回もう30個出してくださいとお願いするとだんだんAIもネタが尽きてきた時がありました(笑)

長谷部
皆さんすでに仕事で少しづつ使われているんですね!

Microsoftの方が、ChatGPTも、重要な部分は何度も確認したり、具体的なフィードバックや感想を言ってあげると、アウトプットの質が高まると仰っていました。

矢口
それは面白いですね(笑)

長谷部
ChatGPTに関しては色々言われていますが、文章の要約、文章の書き換え、ググって簡単に答えに辿り着かないものの3つの分野に関しては非常に有効ということが分かっていますよね。

宮崎
AIの話からは少し逸れますが、要約と言えば、ディレクターにも要約力は求められると思っています。

あるクライアントからオリエンを受けた際に、あるうちのクリエイティブディレクターがものすごく要約上手で感心したことがあります。

オリエンではクライアントから通常色々なインプットがあるんですが、「それは本質じゃない。」とそぎ落として、社内のデザイナーに説明しており自分には出来ないディレクションの方法だなと思いました。

矢口
あー、その現場に僕も立ち会っていたけど、僕は真逆のことを感じていたんだよね。

ディレクターは情報を選択せずにまずはデザイナーに問いかけてみる。選択するってことは、逆に選択されなかった部分の可能性をディレクターが潰していることになるんですよね。

なので僕は可能な限りお客さんが言ったことをできるだけ近いレベル感で伝えた方がいいと思っています。

長谷部
AIとは関係ないですがすごく重要な議論ですね(笑)。うちの中でもディレクターによってもクリエイティブの生み出し方が全然違うんですね!

呉(制作部デザイナー)
デザイナーとしては、どちらが良いかはお客様や案件によって違うと思うんですよね。

宮崎
デザイナーの経験値によっても違うと思いますしね。

デザイナーの方に同じ情報を提供してあげてもできるデザインは違うわけで。赤という色を一つ取っても違う赤を想像するので、共通のイメージを言葉で伝えるのは大変だとこの会社で思いました。

齋藤
デザイナーとしては、AIを仕事の中で使うと考えたときに、デザイン全体ではなく、例えば「水滴のついたレモン」といったパーツの一部を生成してもらうことはできます。

有料の画像を探したり、実際の写真を撮ったりっていうのは時間もコストもかかるので、自分でStable diffusionなどを駆使して自由自在にパーツを作れるようなれば、作業効率があがりクリエイティブに時間を使える割合が増やしていけますよね。

長谷部
たしかに、パーツであれば業務に組み込めそうですね!

生成AIによって、クリエイトすることがより重要になった

矢口
僕はキャリアが長いので、アナログ時代も経験しているんですが、当時は本や資料から自分のイメージを探すということに膨大な時間を使ってました。

それがGoogleによって劇的に業務が変わったんですよね。それまで「探すこと」に多くの時間を使っていたのに、素材を「選ぶこと」が重要になった。

AI革命によって今度は素材を「作ること」が重要になるのかもしれませんね。

長谷部
それはめちゃくちゃ重要な話ですね!クリエイティブ会社の付加価値がどこにあるのか?が、時代によって変化しているってことですよね?

「探すこと」と「選ぶこと」というのはみんなGoogleといったツールで出来てしまうので、今度は「クリエイトすること」に付加価値があると。

生成AIも誰もが使えるツールなのでそのツールだけでは付加価値がなくて、他社から一歩抜きん出るためには、それを使いどのようなクリエイティブを生み出すかっていうのが大切だってことですね!

矢口
おっしゃる通りですね。

長谷部
皆さんありがとうございます。

それでは、このテーマの最後に僕がクリエイティブ会社としてAIとどう向き合って行こうと思っているか少しお話しますね。

結論から言うと、パッケージデザインをゼロから生成するAIの開発や、パッケージデザインを評価するAIの開発は難しいと思っています。

まず多くの専門家の方と話して、パッケージデザインをゼロから作る生成AIは著作権の問題があるし、そもそも技術的にプロのデザイナーのレベルに至っていないと感じています。

では作ることはできなくても、AIがデザインを評価することはできないか?つまり、メーカーが現在実施している消費者調査などを代替する評価AIです。

メーカーは消費者調査にかなりに費用を割いているのでそれをAIが代替して評価する流れはありそうだと思いました。

デザイン会社としても、いわゆる教師データとなるデザインのデータは大量にあります。なのでそれらをインプットして、可愛いポイントが10点、シズル感が5点という評価AIはできるんですよね。

ただそうした評価AIも結局その結果が実際の評価と近いのかは分からない。評価のモノマネはできますけど、それって本当に消費者調査と同じ結果なの?とはなってしまう。

そもそもコスト的にも、教師データの数的にもChatGPTやStable Diffisionの性能を超えるAIを作れないですし。

しかしその中でも活用の方法はあると思っています。例えば、ほぼ最終段階のデザインに微細な修正を加える「デザインのラストワンマイルを支えるAI」。

実際の消費者が評価した後の最終段階のデザインであればクライアントも安心してAIを使えると思うんですよね。

クライアントは著作権の問題、部門間の調整、上層部の意見など色々な制約がある中でデザインを決めないといけないので、AIを活用した場合でもその決定プロセスにしっかりと寄り添ったツールが良いのではないかなと思っています。

次回に続く。