ホンネの座談会 Part.3 〜SDGsがデザインに与える影響とは?〜

はじめに

Part.3.は前回に引き続き「デザインの未来」をテーマに話します。
前回はAIが中心でしたが、今回はSDGsや韓国のデザインの取り組みなどについて話していきたいと思います。

ホンネの座談会 Part.2 〜生成AIとの向き合い方〜
デザインメイトの社長・ディレクター・デザイナーが、「ディレクターとデザイナーはどのように一緒に仕事をするか?」「どうしたらお客様と一緒に面白いデザインができるか?」について本音で語ります。

包材変更にデザイナーはどのように向き合うべきか?

齋藤
最近はキットカットが紙の包材に変わるなど包材の変化がすごく顕著です。包材によってデザインで変わってくる部分があるのでデザイナーもそこにも目を光らせておく必要があると思っています。

矢口
すごい重要だよね。

包材変更に限らず、今後本当にそういうものを作っていくべきなのかとか、デザイナーは絵面を変える部分以外も考える必要がありますよね。

デザイナーが絵だけを考えていい時代はとうに終わっているし、環境や社会などに気を配るという視座がないとデザイナーとして片手落ちになると感じています。

長谷部
紙の包材だとデザインにどのような影響があるでしょうか?

齋藤
前提として商品の価値を落とさずにデザインを変える必要があります。

例えば、従来アルミの光沢感が売りだった商品は、単に紙の包材にすると色褪せた感じになってしまいます。

なのでそれを感じさせないデザインにしたり、それがどのようにしたら可能なのか技術的な部分を含めて我々もキャッチアップしないといけないと思っています。

矢口
良い話ですね!

現在弊社でも似たような案件を受けています。ギラギラのアルミ蒸着から紙に変更することによって、現在の価値にプラスして、紙であることのメリットを足せないかということを考えています。

宮崎
メーカーのみならずお客さん側の意識も変わっていますよね。

ギラギラだから高級というわけではなく、ちゃんと環境に配慮した商品なんだっていうことに価値を見出してくださる消費者もいるとは思います。

ただ、そこに期待するだけではやっぱり難しいところもあります。例えば、コーヒーで紙ストローがでてきたときに残念と感じてしまうように。

矢口
それはグラフィックデザインとプロダクトデザインの違いの大きさが一番顕著に出ちゃう所ですよねー。

グラフィックはあくまでも目に表れることだけでしかないけど、紙のストローは我々のその生活が少しトーンダウンするというかね。

宮崎
あとはそのメーカーの姿勢と商品のコンセプトが一致してると納得感があると思うんですよね。

それがない中でただ紙になってたりすると、表層的な印象を受けてしまいます。

長谷部
うちのクライアントは大手のメーカーなので、SDGsの流れを作っていく側の会社が多いです。なので、仕事する我々もそのような視座がとても大切ですね。

韓国のデザインが素敵なのは、コンセプトに一貫性があるから

長谷部
韓国ではそのあたりが進んでそうですがどうですか?


デザインに合わせて、その包材を決めるっていうことも韓国は挑戦しています。例えば、お米を使った商品に包材自体にもお米を使っていたり。

長谷部
それは包材が高くなりそう!(笑)


そう、韓国はそこにコストをかけてます。

すごい話題になったのは、SKINFOODという韓国の有名な化粧品会社ですが、人参を使ったパットがあります。人参から作られた環境に優しいものなんですよね。

韓国はコンセプトやデザインを決めてからそれに合った包材を決めたりします。

宮崎
それはメッセージとしてすごく強いですね!


消費者からもしても安心できますよね。環境配慮がパッケージの包材にも組み込まれているわけですから。

お客さんが買われた時点から、パッケージとの共同生活が始まっています。

矢口
韓国のデザインはすごくコンセプチュアルな商品が多いですよね。


そう!コンセプトが全てです!

矢口
どういう商品を作るかというコンセプトがまずあって、それを最後の最後まで妥協せずに全部一貫するっていうのが韓国の特徴的なところ。

他の国のデザインっていうのは、やっぱりどっかでね、妥協しちゃうんですよ。

「中身はこういうものを作ります、でも外側はコストかかるからしょうがないからこれにしましょう。」というスペックの選び方が最初から最後まで一貫してそのコンセプトを貫けないところが魅力を半減しちゃったり、使う人がなるほどねっていうふうに納得感が、最後まで行き渡らないみたい所もやっぱりある。

韓国のデザインが素敵だなって思うのはコンセプトも含めた一貫性の部分がしっかりしているからなんですよね。

長谷部
日本でなぜそれができないかと考えると、やはり日本の市場が大きいのでそこまでコンセプトを尖らせない、むしろマス向けの物が売れればそれで良いという所はあると思うんですよね。


そうなんです。韓国は市場規模が小さいので最初から世界を見ています。化粧品もエンターテイメントも同じですね。

規模も大きく、競争も激しいので世界的な社会の動きを捉える力が韓国はすごい強いなと感じます。

そして未来を見る視点、生活者からの視点と作り手側からの視点を素早くキャッチして変えていくという対応力がパッケージデザインにも繋がっています。

矢口
韓国の人に向けて作るっていうことじゃなくて、どの人種の人に向けても、人間としてならば当然共通として持っている「良いもの」ということに視点が行っているってことですよね。

日本人は日本に閉じたところがどうしてもある。


国籍が重要なのではなく、どんな人種であっても結局見るべきは「人」なんですよね。「人」に刺さるものというのは共通すると思います。

なので「人」に真に向き合ったコンセプトを考えるのが重要だと思っています。

矢口
日本でも佐藤卓さんがやられていることは、韓国と僕はちょっと近しいなと感じています。日本人に向けてっていうことじゃなく、世の中的にこういうことって今後重要になってくるよねっていうことを規模の大小に関わらず向き合って仕事してるっていうところが特筆すべきかなと。

全てのデザイナーにそういうことを挑戦する環境が開かれてるわけではないけど、やっぱりそういうことを目指していかないといけないかなと。

長谷部
そうですね、当社でも海外展開向けのブランディングや商品パッケージのお仕事が増えているので、その視点はとても大切ですね。

次回に続く。